(――そうだった。

この子はこういう子だった)


2年前も、当時の民政党政府の批判をさらりと口にして。

問題意識を特に隠そうとしていなかった。


(そうか)


不意に気づく。


(この子はユカだ)


“ユカ”という架空の人物なんていなかった。

この子はユカそのものなんだ。


俺を引っ掛けるためにわざわざ創りだしたキャラなんかじゃない。

違う名前を名乗っただけの、同じ子なんだ。


短い時間で俺をすっかり虜にした、ユカと。