「私将来お金持ちになったら学校の廊下にクーラーを付けるボランティア始める」

「ずいぶん貢献した話だね」

「うん、私なら出来ると思う」

「まっつんの無謀っぷり嫌いじゃないよ」

早苗がウインクする。可愛くない。

うだうだ歩いて職員室までもう少し、というところでバーコード頭の梶田がタイミング良く職員室から出てきた。

「あっ先生!」

「おぉ平塚さん。もぉ~キミ来るの遅いよぉ。今日のプリント渡すから明日やって持ってきてねぇ」

「えーそこをなんとかお願いしますよー」

「だめだめ。甘やかすとキミは調子に乗るからねぇ」

梶田が残り少ない髪の毛を撫でながら職員室に戻っていく。早苗は掲示板を馬鹿みたいにぼーっと眺めていた。

「はいこれプリントねぇ」

「あざーす」

「やって来ないと怒っちゃうからねぇ」

「どんな風に?」

「え~?…ぷんぷんすか!」

「ははは。」

「もっと感情込めて笑ってよぉ」

梶田めっちゃノリ良いし、これでバーコードじゃなくてフサフサで、痩せててイケメンだったら完璧なんだけどなぁ…。

「そろそろ行こうよ」

「あ、うん。それじゃあ多分やります」

「うん、必ずしてきてねぇ」

「さようならー」

「ばいばい」