「あいつ進級できるのかな」

「家が金持ってるからね」

「ワイロか!」

「校長先生。これ例のブツです」

「うぅむ、今回の件はご内密に…」

「「うへへへ」」

「…何やってるの2人とも。教科書開きなさい」

英語担当の山中先生が眼鏡をクイッとしながら教室に入ってきた。
眼鏡をクイッとするのは山中先生の癖である。

「平塚14点、永富15点。あなたたち、私の授業をなんだと思っているの?」

「まっつん14点とか!だっさ!」

「う、うるさい!1点差じゃん!」

「1点でも上は上ですぅー」

「こんの…!」

「騒がない!あなたたちはいつもいつも!!来年は3年生でしょ!?自覚を持ちなさい!」

「「…うーい…」」

「きちんと返事しなさい!」

「はい」

「……。はい」

「なに今の間」

「面白いこと言おうかと思ったけど浮かんでこなかったからやめた」

「静かにしなさい!」

山中先生がまたぶちギレる。そんな怒らなくてもいいのに…。




結局チャイムが鳴るまで説教を受けてしまった。いよいよ私が学校に来た意味がなくなった。

「梶田ん所ついてきて」

「おっけー。…あー…怒られたねぇ」

「怒られた怒られた。暇すぎて途中から先生が眼鏡上げる回数数えてたわ」

「まじ?何回?」

「74回」

「そんなに上げる必要性ないっしょ」

「サイズ合ってないなら買い換えろって話よ」

「もうあいつのあだ名クイ中でよくね?」

「いい感じにださいのが先生っぽい」

大声でクイ中の悪口を言いながら廊下を歩く。太陽が照り付けてきて暑い。そういえば真夏だったなと思いながら角を曲がる。

廊下にもクーラーをつけるべきだと思うなぁ…。