【コラボ】忘れられないヒト

頭を上げて、もう一度佳乃と視線を合わせた崇文。
謝った事で、幾分か緊張が飛んで行ってくれた。

それでも緊張はまだ残っていて、心臓の音がうるさいぐらいだ。

しかし、言わなければ。

ここで伝えなければ、もう会ってもらえない。
初めて会った時と同じことを思いながら、状況はあの時と全く違う。


「俺・・・。」


崇文が何を言いたいか分かった翼は、さりげなく人払いをする。

薄い会議室の壁がどれくらい役に立つか分からないが、とにかく居るより居ない方がマシだろう。

2人きりになった会議室は、広かった。