だが。
今はそうじゃない。


「よしのさん。」


呂律が回らなくなっているのに、崇文は気付かない。


佳乃が、再びウイスキーのグラスを持った崇文の手を、止める暇もないまま。

グラスの中は、空になった。
いよいよ頭の中はふわふわとして、気持ちがよくなる。


「あの・・・関さん?」

「たかふみです!」


名前で、呼んで欲しかった。