「高村さん。」 「はい、なんでしょう?」 この、小首をかしげる佳乃の仕草が、崇文は好きだ。 無理やりにし出した会話だが、続けなければ。 「高村さんには、今、恋人いらっしゃいますか?」 “まず、いるかどうか確認しないと。いたら、どう頑張っても浮気で終わるぞ。” 佳乃の顔が、一瞬だけさびしそうにゆがむ。 聞いてはいけない話題だったのだろうか。 聞かなければいけない話題だと、崇文も思ったのだが。