青空に届け




山岡さんは喋らないことを不思議に思ったのか
私の事をキョトンとした目で見つめていた。



私は制服のポッケから
ミニホワイトボードを取り出して


’’私は喋れない’’

と、書いて見せた。



そうすると
山岡さんは
目を大きく見開いて。


「そっか。
はは、そうなんだ。
ごめん知らなかった。
じゃぁ、良いや。
会話の出来ない彼女は正直きつい。」


と、言い
走り去ってしまった。



またか、
正直もうこの返事には
慣れてしまった。


これまで
何回も告白されてきたけど
みんな私が喋れないと
知ると手のひらを返したように
拒絶する。


もう涙なんて
このくらいじゃ出ない。

でもやっぱり
胸は痛くて山岡さんの
言葉がずっと私の頭の中で
こだまして離れてはくれない。