廊下に出ると 男の子が1人いて 見たこともないし 喋ったこともない子だった。 「ちょっと良い?」 と、俯きながら言う男の子に 私は頷いて後を着いていった。 人通りの少ない 非常階段に着くと男の子は それまで俯いていた 顔をあげて 「2年D組の 山岡啓(ヤマオカケイ)です。 昨日の入学式で見て一目ぼれしました! もし良ければ付き合ってください」 1呼吸もせずに 山岡さんはそういいきると 私に向かって頭を下げ 右手を前に突き出した。 喋ることのできない私は 山岡さんの肩を軽くたたいた。