"空"と呼ばれた男の子は拓真に勢い良く抱き付いた。拓真も受け止める。

「拓兄!!一週間も顔出さねぇから、アイツらも寂しがってるぞ!!」

「悪ぃ…ちょっと忙しくて。そのあと、月夜隊は大丈夫か?」

「おぅ!!あ、でも…珠之助が原田財閥にぶつかって怪我して…全治1ヶ月なんだ」

「珠之助が!?」

また原田財閥ー…確か、東楼国三大財閥だっけ?昔の財閥ってかなり悪かったんだ…

「今、珠之助は?」

「家にいるよ。萩之助が付きっきりで看病してる」

「そっか…後でお見舞い行かなきゃな」

そう言いながら拓真は空君の頭を優しく撫でる。そうすると、空君は照れ臭いのか俯いてしまう。

「そうだ!!花を紹介すんの忘れてた!!」

「花…?」

いつの間にいなくなっていたのか、さっきの女の子はその場にいなかった。

「俺、花を呼んでくる!!拓兄達は待ってて!!」

嵐のように去っていく空君に私達は唖然とした。

「そういや、お前の事も紹介してなかったな」

「あら、忘れてたわ」

原田財閥、か…どんな人達なんだろうー…

「拓兄!!こいつが俺の幼馴染み、花だ!!」

空君の後ろには小さな女の子がいて、とても可愛らしかった。

「花は、5歳の頃に親を亡くして…それ以来声が出なくなったんだ。だがら俺、花を守ってやりたい」