密やかに落として

「あ、俺香山さんゲット」
そう言ったのは同期の渡辺櫂(かい)

彼は素早く私の前に腰を下ろすと、屈託なく笑った。


今夜は一課と二課の合同新年会で、
いつもの飲み会より盛り上がっている。

「あの背中で目一杯君を気にしている」
「何のこと?」
「山本部長」

私はカウンター席の部長に目をやった。

彼との関係は二年になる。
仕事でた頼りにしているうち、どうしようもなく好きになった。

山本部長には家庭がある。




だから誰にも知られないように気を付けていたのに・・・・・・