ひな*恋

「いえ、僕は大丈夫ですが………あれ?」



「すみませんでした、ホントに………あっ」



一歩ほど距離を空け、お互いの顔を見合わせた時、それが知らない相手同士ではない事に気が付いた。



「あのおかず屋さんの…」


「お客さま!?」



相手の男性が私の顔を知ってる通り、ぶつかったその人はうちの“デリカ popo”の常連さんだったのだ。


毎晩残業上がりで「ここで惣菜選んでる時がホッとする」って言ってくれた人なんだけど、最近はずっと顔を見せなかったなぁ。


うちの惣菜に飽きて他の店に行ってるんじゃないかとか、過労死したんじゃないかとか。

ついさっき厨房で噂したかと思ったら、まさかこんな所で会えちゃうなんてね。


て言うか、ちゃんと普通に生きてますよ、小山さん!!

勝手にお客さんを殺さないで下さーいっ