「じゃ、今日はコレね」



そう言った彼がカウンターに置いたのは、もう選べるほどは種類もなくなってきた残り物の惣菜から4つ。


そしてその中には、今日私が作ったいつものサラダが入っていた。



「あ、それね。
最後の1個が残ってて良かったよ~。昨日は売り切れだったからさぁ」



「そうでしたね」



なんて応えながら、1つ1つバーコードを通す。



「………」



うーん…
せっかく冷蔵庫に用意しているリンゴサラダ。

もしまた今日も売り切れてたら「試作品」なんて言って代わりに渡そうかと思ってたんだけど。


必要なかったかな…。




「てゆーか、ねぇ?
ここのおかずって、デザート的なものないの?」



「え?
んー…うちはあくまでも惣菜屋さんだから、デザートは…」



「だよねぇ。いや、結構甘いもんとかも欲しくなるんだよね。
じゃやっぱり、そういうのは別のとこで買…」


「あ、良かったら!」



考えるより先に、口に出していた。


男の子のクセに甘いものが欲しくなるって言ってた事にもドキッとしたし、何より今が一番自然に渡せるタイミングじゃないのかと思ったのだ。