今まで見てきた慎吾くんと同じ、その顔、その言葉。


頭を打った衝撃で私の事を忘れちゃったから、私はもう『せのおさん』であって、『ひな』ではなくなってしまった。



そう、思ってたのに。




「ひなのニオイ嗅いじゃったら、お腹空いちゃったよ。
ねぇ、食べてもいい?」



「慎吾くん、記憶戻……っ!」




胸の奥から溢れてきたドキドキに、もう耐えられなくなったの。


ここが病院、慎吾くんは患者さん。
それはわかってるんだけどね。

でも、どうしてもしてあげたかったの。






「もぉ!食べちゃうのは、ちゃんと家に帰ってからだよっ」



「わっ、ひなぁ!」




ギュッと慎吾くんの顔を胸に抱くと、私は今度こそ誓ったの。



私が慎吾くんと本気でした恋を、本物の愛にするの。



それが、ひな*愛 だよ!




















  “ひな*恋”

   *おしまい*