「最近オヤジがさ、スゲー良い顔してたんだよ」



「…?」



突然話を変えた慎吾くんに、私は涙をこらえて聞いた。



「毎日自分の事で手一杯なクセに、俺には何もしてやれなくてごめんって、そればっか言ってんだぜ?」



「……………」



育ち盛りの息子には外で買ってきたものしか食べさせてあげれないし、男の人だから家の中もなかなか片付けられないね。


本当なら奥さんがいて旦那さんが仕事で忙しくても家の中の事はしてあげれるものなのに、それも出来ないから…。


でもやっと取れた休みには、普段構ってあげれない息子の為に苦手な手料理を振る舞ってあげたんだよね。



「でも、まさかこんなかわいー彼女ができてたんなら、オヤジも幸せだよな。
俺もあんまミジメなオヤジを見たくないからさ、ホントよかったよ」



「……………っ」



お父さん想いの慎吾くんだとは思ってたけど、そんな風に見てたんだね。


でももしこれが、私の記憶をなくしてない慎吾くんだったら…

どう、思ったんだろう…。