少しした後、ケータイを持った盆子原さんがテーブルにと戻ってきた。




「…どうでした?」



「それが…通じないんですよ。
まさか今に限って充電切れしたなんて事もないと思うんですが…」



ケータイが、通じない。

それってつまり、電源を切ってる…って事だよね。


やっぱり慎吾くんは私と盆子原さんの関係に気付いて、それで今日も来ないつもりなんだ…!



「…仕方がありません。
ちょっと心配ですが、僕たちだけでも先に食事しましょうか。
慎吾も時々気まぐれ起こす事がありますので…
…ん?」



と、その時。
ピリリ ピリリ と、盆子原さんの手に持つケータイから電子音が鳴り響いた。



「慎吾…の番号じゃないな。
…もしもし?」



どこからか掛かってきたケータイに、「失礼…」と私に言いながら出た盆子原さん。


その間に、また私はフッと現実に帰っていた。


きっと今日はこのまま2人でランチをして、盆子原さんは帰ったら慎吾くんと話をするだろう。


そうしてその時、ようやく盆子原さんは私と慎吾くんの関係を知るんだわ。



(あぁ…っ)



それで…私は2人とは一緒にいられないようになってしまい、2人も家族の絆に溝が出来てしまうのよ――…





「…慎吾が、病院に!?」



「!?」



両手を顔に覆い、絶望に肩を震わせていた時だった。



電話で話す盆子原さんの声に、私はハッとして顔を上げた。



慎吾くんが、病院って…?