「……しかし、遅いな」



「……………」



コーヒーが届いて、もう30分が経過した。


どうせだから3人揃ってからランチの注文を取ろうかと、慎吾くんが来るまで盆子原さんとずっと話をしていたんだけど…。



「約束の時間を、間違えちゃってるんでしょうか」



「いえ。
僕が先に家を出る前に、11時にって慎吾も言ってたわけですから、そんな筈は…」



お昼が近くなってきたので、だんだんとお客さんの入りが増えてきた軽食屋さん。


誰かが店のドアを開ける度にビクッとなっては注目してしまったけど、でも慎吾くんの姿は全く現れないのだ。



「…何かあったんだろうか。
ちょっと、電話をかけてきますね」



「あ、はい…っ」



そう言って席を立った盆子原さんは、ケータイを取り出して店の奥へと消えて行った。


そうしてテーブルに1人残された私は盆子原さんの背中が見えなくなったのを確認すると、「はぁー…」と肩の力を抜きながら息をついた。



「……………」



約束時間を知ってて来ないって事は、きっと私の事に気付いたんだ。


だから認めたくなくて、それで……っ