「ご ごめんね、お母さん。
今日は、すぐに帰るから…」



「雛、そういう意味で言ったんじゃないのよ」



「…お母さん?」



それまでずっと、ご飯はお母さんと2人で食べている生活を送っていた。

今は仕事の関係で夜は先に食べてもらってるけど、それでも帰って私が晩ご飯する時は、必ずお母さんが側についててくれるもんね。



最近はずっと慎吾くんの家でお昼も食べたりしてたから、お母さんにはかわいそうな事しちゃってるかなって思わなくもなかったよ。




「あんた、いい人見つけたんじゃないの?」



「――――――っ」



そんな、お母さんのズバリ的中な言葉に私は、ギクリと冷や汗をかいた。


な なんでわかったんだろうっ

そんな話、全然うちではしてないのにな。




「…えっと…………っ」



「いいのよ、雛。
別にお母さん、悪い事だなんて言ってるわけじゃないんだから」



私が言葉を詰まらせていると、そう言ってお母さんは私の手を握った。



「雛が何も話してくれないから、お母さん心配してるの。
黙ってないで、早くその人の事を教えてちょうだいよ」



「お母さん…」



確かに、前からお見合い写真だの花嫁修行だのと、さり気なく私のお尻を叩くような事を言ってきてたっけ。