「携帯、忘れられたのですか?」



「あ…はい…」



ど どうしよう。

今イチゴバラさんの家に、私のケータイがあるかもしれない。


幸い私のケータイがどんな色だとか知らないハズだから、見つかってもすぐにはバレないとは思うけど。




「じゃあ、紙に番号とアドレスを書いて交換しましょうか。
それなら、帰ってから登録できますしね」



そう言ってイチゴバラさんは荷物から手帳を取り出し、サラサラと自分のケータイ番号とメアドを書いて私に差し出した。


私も同じように書いて渡す事はできるんだけれど、でもそんな事してイチゴバラさんが自宅から私のケータイに電話なんてかけてきたら…大変だぁ!



「あ あのっ
私、アドレスとか覚えてなくて…っ」



「あぁ、いいですよ。ゆっくりで構いません。
登録したら、一度こちらに連絡くれますか?
その履歴から、僕も登録しますんで」



…う゛っ
どうしよう。今はそれもできないよぉ!



「…遅くなっちゃうかもしれないんで、明日でもいいですか?」



「えぇ、もちろん!
本当にゆっくりで構いませんから」




…よかったぁ。

とりあえずは、難を逃れる事ができたよぉ。