「…………ひな?
どーしたの。固まっちゃってるよ?」



「…えっ、あ……」



すっかり頭の中が真っ白になっていて、私はサラダを持ったまま立ち尽くしていたようだった。


心配そうに私の顔を覗き込んできた慎吾くんだけど、私もそんな慎吾くんの顔をマジマジと凝視した。



16歳になったばかりとは思えないくらい、ちょっと大人びた顔をしている慎吾くん。


髪はそれが今時なのか知らないけど、茶髪で適当に指でとかした程度の雑さと、長い前髪。


着ているTシャツはクタクタで、どちらかと言わなくともだらしないに類する方だと思われるけど。

でもそれも、今時の若者のファッションと言われたら否定はできないかな。



それに対してピシッとスーツを着こなしている誠実そうなイチゴバラさんだから、2人が似てるとは思えないかも。



だけど…



「慎吾くん…昨日はサラダしか買って行かなかったけど、晩ご飯は他に何を食べたの…?」



「えー?
だから、昨日はオヤジがあれこれ買ってきてくれたから、それ食べたんだよ」