「さぁ、ひな。早く入ってよ!
俺もう腹ペコなんだからさぁ」



「あん、ちょっとぉ!」



グイグイと腕を引っ張っては、私を家の中へと連れ込んだ慎吾くん。


パタンと玄関のドアも閉められて、ちゃっかり鍵までかけちゃったよぉ!



「ちょっ、待ってってばぁ!」



どんどん部屋の奥へと引っ張っていく慎吾くんをギュッと引っ張り返し、私はその腕を強引に振り払った。



「あ あのねっ、今日は慎吾くんのお財布を返しに来ただけなの!!
だからもうご飯も作るつもりないし、お腹すいたんなら自分で何とか…」


「ひなぁ、俺ひなの作るチーズトースト食べたいーっ」



「う…っ」



眉をひそめ、まるで寒空の下を身を震わせて佇む子犬のような目で私にお願いする慎吾くんに、ズキュンと胸が痛む。


か かわいいだなんて、別に思ってなんかないんだからぁっ




「…んもぉっ
トーストだけだよ」



「ヤッタね!
サンキュー、ひなぁ」



…かと思ったら、今度はニパッと表情が開いて満面の笑みを見せたり。


調子良すぎだよっ!