「へぇ。
あのサラダはいつも、妹尾さんが担当されてたんですか」



「はい。別に私だけの仕事ってわけじゃあないんですけどね。
でも担当するポジションは、だいたいいつも同じなんです」



「なるほど」



私たちは一緒に肩を並べると、また気持ちいい夏の夜風を感じながら歩いた。


話すネタも大した事ないんだけど、でも聞き上手なイチゴバラさんに促されると、つい会話も楽しく感じちゃうの。



「昨日はイマイチな出来だったので今日は改めて本物のサラダを買って帰りたかったんですけど、残念ながら売り切れてましたね」



「あわわっ
それはすみませんっ」



「いえいえ。
そんな、妹尾さんが謝る事じゃないですよ。
ここのサラダは人気なんだから仕方ないです」



「………………っ」



そんなに気に入ってくれてるなら、1つだけ私がキープしといてあげようかしら…

と思いかけて、やめた。


そうやって特定のお客さんを特別扱いしたらダメだって事、さっきもまた思い知らされたばかりじゃない!



「明日は…イチゴバラさんの為に1つでも残ってるよう、祈ってますね」



「あははっ
ありがとう、妹尾さん」