「おーい、ヒナ坊?」



「…………………はっ
はいっ!何ですか、久保店長!」



「…いや、何ですかじゃなくて…」



翌日の仕事中。

茹でた卵の殻を向きながらボーっとしていたようで。



「休みボケか?
それとも、思春期でも再来したか?」



「思春期って!
久保店長ったらぁ!」



20個以上もの卵の殻を剥かないといけないというのに、水に浸したボウルの中にはまだ殻に包まれた卵が大量に残ったままだったのだ。


…サラダ作りを開始してからもう30分以上経ってるってのに、何やってんのよ私ったらぁ!




「まぁ、ヒナちゃんったら思春期なの?
あたしにも思春期があったわねぇ」



そんな久保店長の冗談に、相変わらず突っ込んできたのは小山さんだ。


いや、突っ込んできたって言うよりも、もう半分本気と言っても過言じゃないのかも。



「小山に思春期か!
そりゃ一体、何百年前の昔話かのぅ」



「まぁ、久保店長!
そんなの、ほんの20年前に決まってるでしょう!」



「20年なわけあるかー!」



確かに!
20年なわけありませーん!!


て言うか、何やかんや言って結局、私の話はそうやって触れかけて違う方へと行ってしまうのだ。


もちろん思春期じゃないのは当たり前にしたって、どの道ここで話す事じゃないんだけどね…。