21時を30分以上は過ぎた夜。


さっきから何台も通っていく車のライトが、私たちを度に照らしては過ぎていく。


そうして、まるでチカチカと瞬いているかのようにさえ見えるイチゴバラさんの顔が、やがて更に私の胸を奮わせる言葉を放ったの。




「実は、かわいい人だなって、思って見てました。
僕も…男ですから」



「――――――っ」




男…ですから…!?


それって、私を“オンナ”として見ていたって事…?



で でもっ、30代後半ぐらいのように見えるイチゴバラさんが、私みたいな大人か子どもかわからないような童顔な奴にそんな……っ





「…今日は送らせてもらって、本当にありがとう。
短い時間だったけど、とても心が癒されました」



「………………っ」



どう反応していいか、どんな顔していいのかがわからなくて、何も言えなかった。

ただイチゴバラさんの放った言葉が何度も頭の中で反芻していたのを、ぼんやりと聞いていただけ…。




「また明日、お店の方で何か買わせてもらいますね。
それじゃあ、おやすみなさい、妹尾さん」



そう言ってイチゴバラさんはフワッと優しい笑みを見せると、クルリと背中を向けて歩いて行った。




「…………………っ」




また明日うちの店にって言ってた。
けど…

明日は私、お休みの日なんです!って言ってないよぉ。



というか…

足がウソみたいに動けなくて、私はもうしばらくそこに突っ立ったままでいたの――…。