「なんだ、小山。今でも十分見せられん顔じゃないのか?
ヒナ坊と比べたら、逆にかわいそうだろう」



「んまぁ!久保店長ったら!!」



…と、そんな会話をしている時に割り込んで来たのは、毎度お馴染み久保店長だった。


まるで夫婦漫才でもしてるかのような2人のやり取りは、ある意味本当に羨ましい関係だなと思う事だってある。



「でもヒナちゃんは本当にかわいくなったわよ?
久保店長だって、そう思うでしょ」



「んー?」



小山さんにそう言われて、ズイと私に顔を寄せてきた久保店長。


うぉぉっ
近いです、久保店長!


と言うか…
40代半ばのクセに、未だ独身らしい久保店長。


久保店長は特別容姿が悪いとか性格がヒドいってわけではないんだけど、何で結婚しないんだろうなと思う時がある。


さては久保店長、アッチの気があるんですか?

なんて、冗談ですよ!




「ヒナ坊が色気づいてきたのは、彼氏の為だろう。
ええ事やのぅ」



「――――っ!!」



ズバリ命中に、ドキーッとした。


て言うか、色気づいただなんて…っ!



「若いうちは、いろいろ恋愛すればいいさ。
それでいい加減嫌になって、儂みたいに独りになると」



「え、久保店長。
…嫌になってって…?」