ひな*恋








「ひな?
今日は何か元気ない?」



「ぇ…っ」



心配そうに私の顔を覗き込んだ慎吾くんに、つい料理をする手が止まっていた事に気が付いた。



「どーしたの?
エアコン、あんま効いてなくて暑いとか?」



「あっ、ううん!
大丈夫、涼しくって気持ちいいくらいだからっ」



毎日汗が滝のように流れるくらいの真夏日だけど、慎吾くんの家は「設定温度は何度なの??」ってくらいよく冷えている。


普通夏に料理なんてしてたらエアコン入れてても暑いくらいなのに、今とか全然そんなじゃないんだもんね。




「ひな、今日のおかずは何?」



「えっとね、グラタンにしようかと思ってるの。
チーズを上からたっぷりかけるよ」



「マジで?ヤッタね!」



どうやら、チーズが好きらしい慎吾くん。

なるべく好きなものを美味しく食べてほしいから、毎日献立を考えるのが楽しい。

だから、家でも職場でも積極的に料理を教えてもらってるの。



だけどさっきクラスメイトたちに会って、ちょっと思った事がある。



私たちって、いつまでこんな関係なんだろう。って…。