「はい、お会計1540円です」



「じゃあ、悪いけど1万円から」



「大丈夫ですよ、お預かり致します。
1万円入りまーす」



サラリーマン風男性から1万円札を受け取ると、レジを操作して今度はお釣りを返す。



「ありがとうございます。
お気を付けてお帰り下さいね」



「ありがとう。
それじゃあ」



笑顔でペコリとお辞儀をしながら5つの惣菜の入ったレジ袋を渡すと、サラリーマン風の男性はニコリと私に笑顔を返しながら帰って行った。



1人で食べるなら2、3つくらいでお腹いっぱいになりそうな気もするんだけど、5つも買うって事はやっぱり奥さんがいるのかなぁ。


或いは、食いしん坊のお客さんだったりして?



…なんて、お客さんの買って行ったものを見てはあれこれ余計な詮索してしまうのは、この仕事をしている私たちの悲しい性。



名前も素性も知らない人なのに、「あれはきっと孫に持って行くものね」だとか、他のおばちゃんスタッフもよく影で言ってるものなのだ。