いつもなら校則を意識して、廊下を走るなんてことはしないのだが・・・
今日は全力疾走していた。
廊下を走り、階段を飛び下りて、上履きが片方脱げているのにも気づかないほどに。
「早く行かないとっ!!」
やっと見えてきた昇降口、加奈はそこを通り抜け上履きをはいたたまま外に出る。
「止めないとっ・・悠馬をっ!」そう、刀男にやられてしまうから、男を止める・・・
ではない
悠馬がやりすぎないように、悠馬を止めるのだ。
加奈はもう気づいていた。
悠馬には人を超越した力があると・・そして自分にも。
だから止めなくてはならない、「人より少しだけ力がある」という程度の認識しかない面倒がかかる、けど放ってはいられない・・そんな幼馴染を・・取り返しのつかなくなる前に。


