その姿を見て、思わず、少し微笑む。
 こんなの、初めてだし、少し、緊張しちゃう。
 
 「おまたせっごめんね。」
 「大丈夫だよ。」
 「そっか。じゃ、帰ろ?」
 「...うん。」

 どうしてか、方向は一緒らしかった。
 よく見ると、本当に、かっこいいし、背も高い。
 制服姿は、なぜか初めてに思える。
 というか、本を読んでて、何も、しゃべんない。
 勇気を振り絞って、話しかける。
 
 「...あ...あの!」
 「ん?」
 「それ...なんの本?」

 なんでこんな話題だよっ。
 自分で、ツッコミ入れたくなる。
 カバーがかけられ、なんの本かわからない。
 すると、和泉は、「あー」と言って、その本をカバンに押し込んだ。

 「気にしないで。」
 「...え...うん。」

 なんか見られたくないものなのだろう、と思った。
 もしかして・・

 「あっやらしいものじゃないからね?」
 「え」

 もしかしていやらしい本?
 と思ってたのが、心読まれた?
 
 「あ、っと....ここ、俺んち。」
 「そうなの。...ってええぇ!?」

 そこには、和泉家が。
 その隣には、笹井家が。

 「と...隣ぃ!?」

 どういうこと!
 全然知らなかったんだけどっ。
 てゆか...いつからなのぉ!?

 「本当に知らなかったんだ....。」
 「あ...あははっ...。」
 「二年になってから、転入してきたんだけどな。」
 「嘘!」
 
 どんだけ馬鹿なの私..。
 確かに、家出るときいつも本読んでるけどさ...。
 それでこんだけ気づかないのもびっくりだ。
 それで、うろ覚えだったのか。
 妙に納得する。
 
 「ひかりちゃんのことも前々から知ってたよ。」
 「ご...ごめん...」
 
 本当に、申し訳ないや。
 自分でも、ちょっとありえないと思う。

 「なにか...お詫びを...」

 申し訳なさ過ぎて、しょうがない。

 「んっと、じゃあねー」
 「うん。」

 思いついたように、にやっと笑い、それに対しても、不覚にもドキっとする。
 すると、私の腕を思いっきり引き寄せた。
 
 「キス。」

 え?という前に、思いっきりキスされ、心臓が飛び跳ねる。