ある日、僕の妻は言った。







「タケちゃん。あたし好きな人できた」


あまりにもさらっと言うものだから、僕は「ふうん」とだけ返して妻の手作りエッグバーガーを頬張りながら新聞を捲った。

たぶんその間、2秒。

日曜日にも関わらず妻に起こされ、ぼうっとしていた頭が目を覚ますまで、それから0.5秒。

慌てて新聞を閉じ、ダイニングテーブルの向こうでミルクティーを飲んでいた妻を見上げるまで0.5秒。

合計、約3秒で僕はやっと理解した。

僕の視線に気づいた妻がにこっと微笑む。

淡い桃色の唇から真っ白い歯が覗いた。


「ーーーは?」