「矢野はどうだった?」
真里が自販機コーナーに入ると、先客の野田英介が開口一番にそう聞いた。

「とても感じの良い人でした」
「そうじゃなくて、犯人かどうかって聞いてるんだ」
「また。野田さんは黒か白かしか興味ないから・・・」
「重要なことだろ」
「矢野さんは違うと思いますよ。確かに。一番近いところにいましたけど、あの時は周りを記者達が囲んでいました。不自然な行動をすれば気がついたでしょう」
「確かに・・・」

野田が頷くのを横目で見ながら、真里は自販機からコーヒーを取り出した。

タブを開けて一口飲んだとき、同僚の刑事が走ってきたのか、息を切らしながら入ってきた。

「長江のっ・・自宅から、・・・遺書が見つかりました!」