「自分の地位の危うさを感じて、父を殺したあなただ。僕が名を上げれば、今度は僕の命を狙うと踏んでいました」
「それで、野田を身代わりにしてここに閉じ込めたのか。だが、今の状況をよく見てみろ。キミも危ないんだぞ」

「承知の上ですよ」
「・・・・自分も死ぬ気なのか?」
矢野は微笑を浮かべた。
「僕のやったことを法で裁くのには、証拠が足りないでしょうから」

「ふざけるな!私は死なないぞ!」
矢野を押しのけた途端、目の前に柱が落ちてきた。
慌てて反対側を向くも、そこは既に炎が立ち上っていた。

「いっ・・・!」
矢野の声をする方を見た。
三木に刺された腹を押さえる矢野の後ろは火の回りが小さく、まだ逃げられる希望があった。
しかし、二人の間は上から落ちてきた柱で阻まれている。
「助けてくれ!頼む!助けてくれ!」
必死に助けを求める。

しかし、火はどんどん轟に襲い掛かる。
「嫌だ!嫌だー!」
その言葉を最期に、更に崩れ落ちた柱によって轟の姿は見えなくなった。

後には炎なのか轟なのか、どちらともなのかもしれない。叫ぶような音が響いた。