「片山真里に何を言われたんですか?」
帰ってから様子がおかしい矢野に三木は直接問いかけた。

「別になんともありませんよ」
そう言うが何の説得力にもならない。

三木は声を落として言った。
「あの女。邪魔になるかもしれないし、殺しましょうか?」

途端に矢野の目の色が変わった。
「駄目です!彼女を殺す必要は無い」

「なら!」と、今度は三木が声を上げた。

「そんな顔しないでください。先生はやると決めた事があるでしょう?一体何を言われたのか知りませんけど、そんな事で迷わないでください!」

ハッとした・・・。

今更、何を悩む必要があるのか。
何を一人の言葉に動揺されているのだ。

「・・・・・そうですね。すいません」

次に見せたのは、いつもの掴み所のない笑みだった。