「――――っ!」
目を開いた。

周りを見るとそこは矢野の部屋のベッドの上だった。
起き上がるといつもより鼓動が激しいことに気づく。

嫌なものを見てしまった。
頭を抱えていると、携帯電話の着信音が鳴った。

「・・・はい」
「おはようございます」
「あぁ、三木君。おはようございます・・・・」
「先生。あの後、大丈夫でした?」

あの後というのは野田と真里を返した後の事だ。
二人が見えなくなると、矢野は三木も家に帰していた。

「大丈夫ですよ」
「先生・・・」
三木は遠慮がちに口を開いた。

「野田英介を殺しましょうか?」

一瞬、思考が止まった。

「あの男、邪魔になると思うんです。・・・・先生?」
三木に呼ばれて、携帯電話を握り直した。

「殺さないに越したことはないですよ」
「そうですか。分かりました」

でも。と言葉が繋がれた。
「先生の計画の邪魔をするようなら、俺は容赦しませんから」

「失礼します」と聞こえると、通話が切れた。