小悪魔ちゃん


「あ……じゃあ、あたしもう戻るね」

「あぁ。
CD、ありがとな。
すぐ返す」

「ゆっくりでいいよ。
じゃあね」


宮山は笑顔でそう言って教室を出ていった。


「相変わらず美人だな~、なっちゃん」

「なっちゃん?」

「宮山夏実ちゃんのこと。
スラッとして、綺麗だよな!
モデルみたいだし!」

「お前は宮山みたいなのがタイプなのか」

「またまた~、悠ちゃんだってそうでしょ?」

「は?」


意味が分からずに聞き返すと、馨はニヤニヤ笑いながら口を開いた。


「悠となっちゃんが両想いだってもっぱらの噂だよ!
どっちから告るんだろうってみんなが予想してるし!」

「はぁ!?
何だよそれ!」

「あれ?違うの?
好きじゃないの?」

「違うし……。
大体、どこからそんな噂が出てきたんだよ……」

「お似合いだもん、二人。
人気者の悠と美人でモデルみたいななっちゃん!」

「やめろ」


はぁ……。


まったく……そんな噂が流れてたなんて……。