すると、そこにいたのは隣のクラスの女子。
宮山夏実―ミヤヤマ ナツミ―
「どうした?」
「保坂君に渡したいものがあって」
「渡したいもの?」
「はい、これ」
宮山に手渡されたのはCD。
俺が気になってたアーティストのだった。
「保坂君にこの前貸すって言ったから」
「あぁ……あれ覚えてくれてたのか」
「約束は忘れないよ」
そう言って宮山は笑った。
……その時、何か冷たい視線を感じた。
俺がその視線を感じた方に目をやると……桃奈が冷めた目でこっちを見ていた。
「桃奈………?」
俺が桃奈に気づくと、桃奈は俺から視線をそらしてまた男と話し始めた。
何だ……?
「保坂君?」
「え?あ……ごめん」
宮山は俺が視線を向けていた方を見た。
「あぁ……安西さん。
すごいね、相変わらず大人気」
「……みたいだな」
「仲良いの?」
「仲良いっつーか……小学校から同級生だからな」
「そう……なんだ……」
……何だったんだろう、さっきの視線は。
たまたま?
……だよな、きっと。

