放課後。
さっさと帰ろうと思って、あたしは足早に廊下に歩いていた。
早く帰っても特にやることはないけど。
でも、家に帰ってゴロゴロしてる方がここにいるよりよっぽどいい。
「桃奈」
あたしが一心不乱に歩いていると、突然名前を呼ばれた。
……聞き間違えるはずのない声。
あたしは少し胸をドキドキさせながら振り返った。
「もう帰るの?」
「うん、そうだよ」
悠の周りにはたくさんの友達。
男子も女子も混ざっている。
大方、これからどこかに行くんだろう。
「じゃあ暇ならさ、お前も来る?
カラオケ」
「あ……」
……行きたい。
本当は……行きたい。
だけど……
あたしはこっそり女子の表情を見た。
見事に全員が来るなと言わんばかりの鋭い視線をあたしに送っている。
……何だかもうバカらしくなって、あたしは小さく笑った。
そんなあたしを悠は不思議そうに見た。
「桃奈?」
「ごめん。
あたし、ちょっと用があって……」
「あぁ、そうか。
じゃあ、また今度な」
「うん。バイバイ」
悠に軽くヒラヒラと手を振ると、あたしはその集団から離れるように急いで廊下を走っていった――

