小悪魔ちゃん


「あたしだって……ずっと好きだったのに……」

「……ごめん」

「……謝らないでよ。
なんか……惨めになる」


宮山はイスから立ち上がり、唇を噛み締めながら俺の方を見た。


「……言っとくけど、あたしは安西さんのこと嫌いだよ」

「え?」

「……勘違いしないでね。
安西さんが小悪魔だからとかそんなんじゃなくて……好きな人をとられたからだから」


宮山………。


「……じゃあね」


……宮山は静かに教室を出ていった。


一人教室に残された俺は……これからどうするか考えていた。


……桃奈に伝えなくちゃ。

この気持ちを……。


気づくのが遅くなったけど……確かに俺の心の中にある気持ち。


……俺は覚悟を決めて教室を出た。