「……安西さんなんて、ただの男好きじゃない。
いろんな人に声かけて、好きにさせて、フッて……ただ弄んでるだけの最低女じゃん!」
「……違う。
桃奈は………」
「何が違うの?
……本当のことでしょ?
たくさんの人が傷ついてるのに、本人は飄々として……あんなの、小悪魔じゃなくてただの悪女じゃない!」
「違う!!」
……俺は思わず大きな声を出して否定していた。
これ以上黙って聞いていられなかった。
「……桃奈はずっと苦しんできたと思う。
アイツは多分……ただ平穏に楽しく過ごしたかっただけなのに……男達が周りにたくさん寄ってきて。
……そのせいで女子からは嫌われて……いじめられて」
……耐えてる。
強がってる。
……心の中ではいつも泣いてる。
「桃奈だって罪悪感はある。
確かにみんなが良く思わない気持ちも分かるけど……悪いのは桃奈だけじゃないだろ」
桃奈の本質を見ようとはしなかった周りも………そして、何も気づけなかった俺も。
……悪いのは、桃奈だけじゃない。

