小悪魔ちゃん


けど、そんな桃奈をよく思わない人もいて。

転校してきて数週間後。


……俺が宿題を忘れて学校に戻り教室に入ると……桃奈が数人の女に囲まれているのが見えた。


背が低かった桃奈は自分より背が高い女子達に囲まれて……怯えていたように見えた。


『……何やってんだよ』


その時、俺は教室に飛び込んで桃奈を助けに入った。

俺が入ってきて驚いた女子達は桃奈のことを睨みながらそそくさと教室を出て行った。


『……大丈夫か?』

『っ……だいじょーぶ……』


目には涙が今にも溢れそうな程溜まっているのに……桃奈は強がってそう言った。


『……ほら』


俺がハンカチを差し出すと、桃奈は戸惑いながらもそれを受け取った。

……そして、大粒の涙を流して泣き始めた。

それが……俺が初めて見た桃奈の涙。