安西桃奈
そう黒板に名前を書かれたのは……そう、今から六年前。
先生の横に立つ、小柄な可愛らしい女の子にみんなが興味津々だった。
『安西桃奈です!
よろしくお願いします!』
転校生。
それはどこの学校でもどんな子でも転校してきた当初はみんなの注目の的。
だけど、桃奈は違った。
可愛らしい顔に明るい性格。
多分男子のほとんどが桃奈のことを好きだったと思う。
その人気は衰えることを知らず、いつも桃奈の周りは笑顔で満ち溢れていた。
『悠君、大きいねー。
身長いくつ?』
『ね、悠君!
あたし昨日より大きくなってない!?』
転校して俺の隣の席になった桃奈は事あるごとによく俺に話しかけてきた。
主に身長の話だったけど。
お喋りが好きらしくて、いつも誰かと楽しそうに話していた。

