小悪魔ちゃん


「……本当に好きな人なんだな。
桃奈がそこまでしても忘れられないほど……」

「……うん、好きだよ」


桃奈は俺の方を見て……ふわりと柔らかに微笑んだ。


「……あたし、こう見えても一途なんだよ?」


でも……その柔らかな微笑みはすぐに消え、桃奈の瞳が切なげに揺れる。


「けど……その人はあたしのことなんて眼中にないから」

「眼中にないって……」

「……その人は大人びた女の子が好きなの。
あたしなんてチビで童顔で……まるで正反対」


……小さくて可愛い。


それは周りからしたら褒め言葉なのかもしれないけど……桃奈からしたらヘコむ材料の一つでしかなかったんだ……。