小悪魔ちゃん


その日の放課後、俺はみんな一緒にカラオケに向かってるはずだった。


……なのに。


一度学校から出たはずの俺は、また校門をくぐって校内に入っていた。


理由は簡単。

ケータイを教室に忘れたからだ。


みんなに先に行っててと言って、学校に戻ってきた。


「あーあ……ツイてねぇな」


まさかケータイを忘れるなんて。


俺は小さくため息をつきながら教室の扉を開けた。

ほとんどの奴は部活で、残りの奴らはカラオケに行った。

だから、誰もいないはずの教室。


……そう思っていたのに。


小さな人影が……窓辺で揺れていた。

窓から……何とも言えないような目で外の景色をじっと見つめている人がいた。