「でも、宮山さんは確かに綺麗だよね」
「でしょ!?
いかにも悠ちゃんが好きそうなタイプだよね~」
「だから違うっつーの……」
「確かに、悠がこれまでに好きになった女の子ってみんなああいう感じの子だったもんね」
「ちょっ……桃奈!」
桃奈のその言葉に、馨がキラキラ目を輝かせた。
「聞きたい!
悠ちゃんの恋愛遍歴!」
「聞かなくていいよ、んなもん……」
「あのね、小学生の時に好きだった子は南ちゃん」
「南ちゃん?」
「小学生なのに中学生によく見間違われる程の大人っぽい子だったんだよ」
「へ~!」
「それで、中学になって好きになった女の子は明里ちゃん。
読者モデルやってて、すごくスラッとして綺麗だったの」
よく覚えてるよな……コイツ。
「じゃあ、本当に大人っぽい子ばっかり好きだったんだ?」
「そうだよ。
ねー、悠」
大人っぽい子ばっかり……か。
「……今は別にそうでもないし」
「じゃあ、悠ちゃんはどんな女の子が好きなの?」
「どんなって言われてもな……」
……その時、俺の前にいた桃奈とぱっちり目が合った。
……桃奈の目がいつもと違った。
昨日のような冷たい視線ではなく……切なげに揺れる瞳。
「桃奈……?」
俺が声をかけた瞬間……チャイムが鳴り、先生が入ってきた。
……桃奈は何も言わずに静かに自分の席の方へと歩いていった。

