君色。私色。


何故だか分からないけど、胸の鼓動が早くなった気がした。

それに、まっすぐ顔を見れない。

「大丈夫?顔赤くなってるよ?」

―えっ…そんな…―

そんなふうに考えていると、グっと腕をつかまれた。

そして、彼が立たせてくれた。

「あっ…ありが…とう…」

「いや、別に、走ってぶつかったのは俺のせいだし…ケガ…?ない?」

「ぅん。大丈夫。こっちこそごめんなさい。」

「ううん。ケガなくてよかったよ。じゃあ、俺行くなっ。」

すると、彼は走って私の来た道の方へ、走って行った。


―なんだろう。なんかまだ緊張してる。―

彼が見えなくなって、私は玄関へと歩いて向かった。