「ま、苦労はしてないからいーけど。

記念日も参観も全部絶対でるし。

会いたいて言えばすぐ帰ってくるし。

両親が喧嘩してるとこは一度も見たことないことは、自慢できる。」



焼けてきたホットケーキが香ばしい匂いで少し重くなった空気を包む。


こういうときなんて言ったらいいんやろ。


なんかとっさにでてくる言葉がない。


考えてもでてこない。



「ほらまたそうやって眉間にシワ寄せるー」



フライ返しを右手に持ち、左手であたしの顔を指差し笑う。


だってだって…


あたしから聞いといて、なんも言えへんてどうなん。



「今度、友里のこと紹介してもええ?

来月、妹誕生日やねん。」


「うんっ!」



何番目の妹?


とかあとになって思ったけど、紹介してくれるってことが嬉しくてそんなの吹っ飛んでいた。