「ここ。」
一人で妄想を膨らませてる間に、着いた家。
そこは3階建てマンションやった。
201号室の前で立ち止まり、鍵を開ける。
…この場合、ここでばいばいすべき?
いや、飯食ってないしおかゆくらい作ったったほうがいい?
そんなボーッとしてる俺を玄関に立ちすくんで、涙目で見上げる。
て、なんで涙目やねん。
あーもー、そういう顔されたら困る。
「たっくん、ちょっとだけおってくれへん?」
なんて甘い口調で言われたら
「はい。」
ていうしかないやろ。
なんか変に緊張してまう。
はじめてあがった部屋は、1DKで想像通り白で統一されていた。
「なんか食える?」
寝室のドアをあけ、ベッドにバタンと倒れた背中に言う。
「なんか食べたい…でもなにあるかな…」
「冷蔵庫勝手にみていい?キッチン借りるな。」
「うん。ごめん、ありがと」

