「そん時に俺が気づいとったら、あんな目に遭わんでよかったやん…」
声のトーンの低さがやばい。
「あたしが付いてったのがあかんかってん」
そう。
あの時。
「なぁ、こんなとこで何してるん?」
「…っ」
背後からの声に焦って声にならない声がでた。
振り返った先には、よく絡んでくる3年の男子たちだった。
金髪と赤髪と派手なメッシュの入った3人。
「俺らさ、棒引きの棒が足りんらしくつ
旧校舎の方の倉庫いって取ってこい
て言われたんやんかー。
せやけど、俺らだけで倉庫いったら
他の先生になんか言われそうやん?
棒引きの話とか聞いてくれなさそうやし。
で、友里ちゃん一緒に来てくれへん?」
ほんまうまいよな。
まんまと騙されたわ。
よくよく考えたら、棒引き今年ないし。
しかも、足りひんとかあるわけないし。
自分があほすぎて情けないわ。

