「友里」



教室の鍵を閉めてるときだった。


誰もいない静かな廊下に響いた声。


後ろを振り返るとそこにいたのは、清野くん。



「打ち上げ行かんかったん?」

「あー興味ない。…てか、はいこれ。」



手渡されたのは二つに折られたノートの端切れ。



「俺の番号とアドレス。学校じゃ、思うように話せへんし。」



頭をかきながら、ちょっと照れくさそうに言う姿にきゅんとする。



「ありがとっ!帰ったら、連絡するな」



紙を握りしめてにやにやする。


ゲットしちゃった。


女の子たちが欲しくて欲しくてたまらないであろう王子さまの携帯をあたしは知ってしまった。


優越感から、顔のにやけがおさまらん。



「にやにやしすぎ。きもいで」



…彼女にきもいていうとか、ありえへんけど


そんな言葉にさえもにやつくあたしはアホなんだろう。