ガラガラガラ…
「遅くなってごめんなさい。」
そう言って教室に入ってきたのは、夏木友里。
「この学校めっちゃ広いなー。あたしここの出身やねんけど、あたしのころ旧校舎やったからさー。あたし方向音痴やねん。はよ覚えんとな。」
てへへとお茶目に笑う姿に、きゅんとする。
…なんやこれ。
一目惚れとかいうやつなん?
いやいやいやでも相手、先生やし。
てか年上やし。
そもそも今会ったばっかやん。
「とりあえず、自己紹介するな。夏木友里。24歳です。教師は2年目で、1学期までここの姉妹校の一高にいました。で、まあいろいろ大人の事情でここにきました。」
てか、ちっさいな。
身長いくつやろ。
パッツンにされた前髪が幼く見えて、くりくりの大きな目が際立っている。
それにぷくっとした唇。
ひとつひとつがドストライク。
「んー、自己紹介て何話したらいいんやろ。…なんか質問ある?」
あ、大人の事情に関してはノータッチやで!と付け足して、人笑いとった夏木友里。
「彼氏いるんですかー?」
クラスの中心的人物の女子がいった。
みんなが気になること。
「おらんおらん。教師してるとな、そんな暇ないねん。」

