「とりあえず、離れよか。」



まだ肩で呼吸している西野の肩にそっと手を置き、引き離す。



「清野くんが1年生の女の子とふたりで歩いてんのみて、絶対告白やって思ってん。
そしたらいてもたってもいられんくなって、気づいたら追っかけてた。

急に抱きついたりしてごめんな。」



顔を真っ赤にして、早口で話す西野。



「いや、あのびっくりした…」

「あの子と付き合うん?」



「付き合わんで。」

「…ほんまにっ?!」



さっきまで下を向いてたのに、急に明るくなった表情。


わかりやすすぎるわ。


けど、ごめんな…



「俺、好きなやつおんねん。せやから、あの子の気持ちも西野の気持ちも受け取られへん。ごめんな。」

「…えっあ、そ、そうなん…や。」



前髪を何度も触り、俺から視線をそらす。


「あの…いきなりごめんな。

えと、うん、忘れて!

あたし清野くんとは今まで通り接したいし、勢い余って言っちゃったけど…

あれは夢やと思って忘れて!」